なぽれぼ

ナポレオンとフランス革命について色々

漫画『1812─崩壊─』長谷川哲也

岸田恋先生の『戦争と平和』の紹介記事は、異常にぶ厚い原作との比較に時間がかかっています。
これ以上更新をサボるのもまずいので、読み切りの中からこちらを先に紹介。

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・作品情報
『1812─崩壊─』前編 長谷川哲也
YOUNGKING アワーズ 2002年7月号 少年画報社 2002年
32ページ 単行本収録:無し

※2022年2月25日、少年画報社から電子版で単品販売が始まりました

Kindle,honto等で買えます)

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・作品情報
『1812─崩壊─』後編 長谷川哲也
YOUNGKING アワーズ 2002年8月号 少年画報社 2002年
24ページ 単行本収録:無し

※2022年2月25日、少年画報社から電子版で単品販売が始まりました

Kindle,honto等で買えます)



・あらすじ
1812年6月、フランス帝国がロシア領に侵攻、大遠征が始まる。
それは世界最強を謳う大陸軍の崩壊の始まりでもあった。

・登場人物

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ビクトル伍長
大陸軍古参兵。
遠征に際し、予備の靴を4足用意した上、布を巻いて長持ちさせる工夫をするなど、周到な性格。
仲間に対する基本的な面倒見はいいが共倒れになるような甘さは無く、落伍者は見捨てる。

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シェット
志願したての新兵。頭が回り、遠征の補給上の問題点を批判する。

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ルスタム・レザ
皇帝の番犬。
エジプト遠征の中でナポレオンに献上され、以後忠義を尽くす。

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ナポレオン
説明不要の僕らの皇帝陛下

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ベルティエ
フランス帝国元帥。
会議シーンで1コマだけ登場。

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アレクサンドル一世
ロシア皇帝。小さく1コマだけ登場。
増毛しおって。

・感想

読み切りのため、状況の説明のためのみにページは割かず、兵士同士の会話や過酷な行軍描写をポイントを絞って印象的に描くことで、当時の軍隊の置かれた状況が良く分かるようになっています。
この辺りの構成の上手さはベテランの貫禄を感じます。

道中、遠征の無謀さを非難するシェットに対してビクトルは「お前は新兵のくせに頭が良すぎる。だから余計なことばかり考える」と忠告し、なおも言い募ろうとするシェットをこう一喝し黙らせます。

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獅子の時代、覇道進撃でもおなじみのフレーズは読み切りのころから使われていました。
しかし不平を並べたあげく誰かに怒られ言わされるならともかく、自らこの言葉で新兵を叱咤するなど、こいつは本当にビクトルなんでしょうか?
とりあえず『ビクトル?』と疑問符付きで呼ぶことにします。

この後ビクトル?は仲間の死に憤りナポレオンに詰め寄って見せ、獅子の時代エジプト遠征編でダヴーと二大怪獣大決戦みたいな互角の破壊力を見せてくれたあのルスタム・レザに切りつけられてしまいます。

ところが、出てきたレザとサーベルで見事に切り結んだあげく、反撃して壁を壊す勢いで片手の突き出しをくらわせたりします。

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その後逆転されるものの、十分すぎる戦闘力。なんということでしょう、ビクトル?が普通に強いです。

入手方法ですが、アワーズ国会図書館での複写依頼が可能です。
私は1996年くらいの高港先生の漫画を依頼して全ページ届きました。
ただし、見開きを押し付けてのコピーとなるので、のどの部分は歪んでおり、読めればいいというレベルです。
雑誌自体を入手したい場合、古書店などでも探しにくいため、ヤフオク等で何年分かまとめ売りされたりしているのを探すのが現実的でしょうか。

はせがー先生と少年画報社にお願いして単行本を出してもらうのが良いかもしれません。
単行本がないと言えば『青年ナポレオン』もそうですが、獅子の時代の外伝でも、ミュラ外伝だけは単行本に収録されていません。

※2022年2月25日に電子版で単品販売が始まりました(Kindle,honto
獅子の時代のコミックスは出し終わってしまったので、覇道進撃のコミックスに載せてくれるのを期待するしか。
『青年ナポレオン』を3分冊くらいで出して、他の読み切りを各巻末に入れてくれるのが個人的にはベストだと思うのですが、結局、連載の単行本の売上次第な気がします。